あか毛和牛を知ろう

あか毛和牛の定義

熊本と高知に誕生した「あか毛和牛」

あか毛和牛(褐毛和種熊本系)

日本で牛と言えば、白と黒がまだらな「ホルスタイン」、黒一色の「黒毛和牛(黒毛和種)」が有名ですが、これらとともに近代以降の日本の食生活を支えてきた牛に、褐色の毛が特徴的な「あか毛和牛(褐毛和種)」がいます。
熊本と高知に生まれたあか毛和牛は、体格が大きく、温厚な性質で、放牧に適しているという特性を持っています。日本では現在、24,500頭が育てられています。

あか毛和牛誕生のきっかけは、明治中期から大正にかけて、熊本と高知で飼育されていた牛に、スイスのシンメンタール種という牛を交配させたことでした。これらの牛は体質が強健で粗食に耐え、温厚な性質であるため農耕や運搬などの使役に適していましたが、体格が小さいという欠点がありました。そしてその改善を目的に、熊本と高知それぞれで外国種との交配が試みられたのです。その後も改良が重ねられた熊本と高知の牛は、1944(昭和19)年に一括して「褐毛和種」と命名され、黒毛和種、無角和種とともに日本固有の肉用種に認定されました。

脂肪交雑の度合いが少ない「あか毛和牛」

和牛とは、明治時代の日本の在来種に、外国種の牛を交配・品種改良を重ねた褐毛和種(あか毛和牛)、黒毛和種(黒毛和牛)、日本短角種、無角和種と、これらの交配種を指します。
和牛の中で最も多く生産されているのは黒毛和牛で、食肉用の和牛全体の95%以上にのぼります。黒毛和牛は全国で生産され、神戸ビーフ、松阪牛、近江牛などが含まれます。黒毛和牛の最大の特徴は、脂肪交雑が多いことです。日本人の霜降りに対する嗜好が、黒毛和牛の人気を高めたといわれます。これに対してあか毛和牛の特徴は、脂肪交雑が適度で、うま味を豊富に含む赤身が多いこと。健康志向や嗜好の多様化などに伴い、牛肉に対する嗜好も変化するなか、あか毛和牛には黒毛和牛とは異なる、牛肉の魅力を伝える可能性が秘められています。